~ オーストリアで活動する ピアノ調律師Aさんの体験より ~

深~い はなし①
いつものように仕事を終え、依頼主に試奏をお願いすると、「あら私こんなに上手に弾けるわけないわぁ~!」 私はてっきり褒め言葉だと思い笑顔を浮かべると、
「ストラディバリウスはご存知?」 とっても良い音がなるというバイオリンの名器でしたらば名前だけは・・と答えると、「良い楽器は、誰が弾いても簡単に良い音が鳴るというわけではないのよ・・、その楽器の本当の音を引き出すには、並々ならぬ努力が必要だし、良い楽器は人を選ぶの・・だから楽器から学ばせてもらうことも沢山あるわ、あなたの調律は、コンクールで弾くピアノだったら文句はないけど、このピアノは、誰が弾いても簡単に弾けてしまってはいけないの!
もとに戻してちょうだい・・・」。 ・・・ 深~い~!


深~い はなし②
いつものように仕事を終え、依頼主に試奏をお願いすると、「あらビブラートがかからなくなっちゃたわぁ~!」  ビブラートは空気のゆらぎなので、ハンマーで弦を叩くピアノでは、物理的にかからないのでは? と思っていましたが、依頼主が周囲にいたピアニスト仲間に「ビブラートってかかるわよね~?」と問いかけると、一様に「(独)Natürlich」もちろん!」 試しに他のピアノで曲を弾いていただくと、確かに私の耳でもビブラートが聴こえるのです。 詳しく教えていただくと、正確にはビブラートは ‟かける” のではなくて ‟かかる” ものだそうで、作曲家が意図してそうなるように書いてあるそうなのです???。 それはいったいどういう調律をすればいいのでしょうか? 「それは解らないわ! でも、ここの調律師さんは皆さん出来ますわぁ! おっ ふぉ ふぉ ふぉ」。 ・・・ 深~い~!
 
これらの話って、流石音楽の都って思わせてくれる反面、なんだかとっても自分が恥ずかしく、井の中の蛙感が身に染みるエピソードです。 音楽大学を出たのに知らなかったのは私だけ? 皆さんはご存じでした? これを書いていて、ふと頭に浮かんだ名前があります。 「故 八田 泰一 先生」、私は全く存じ上げませんが確か奇才M先生が 「八田先生の編曲は良く音が響くんだよな~」 見たいなことを言ってたことを思い出しました。 そうそう、そう言えば小学生の時にお世話になっていた打楽器の先生も、「クラシックとかを変調してある吹奏楽譜は楽器が鳴らない、原調でなきゃダメだ!」みたいなことを言ってました。 もしかして、これって同じ類のはなしでしょうか?
音楽って、知らないこと解らないことがまだまだいっぱいです。
 ・・・ 深すぎ~! 



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